KAWAMURA LEATHER

2021.08.15

カテゴリ:
レザー

イタリアンレザー『ALASKA / アラスカ』のエイジング(経年変化)について

こんにちは、iso(いそ)です。

今回は当店でもとても人気のイタリアンレザー『ALASKA / アラスカ』のエイジングについて書いてみようと思います。

というのも、「ALASKAの◯◯◯(カラー)ってどんな風にエイジングしますか?」という問い合わせがちょこちょこあります。

ただ、真面目に答えようとすればするほど「使い方によりますよね」っていうちょっと突き放してしまうような返答になってしまうんです。

財布として使う場合、持ち歩く際はポケットにいれるか鞄にいれるかでも変わりますし、気を遣って丁寧に使われる方もいれば、あまり気にせずガシガシ使う方もいます。また、一定期間に財布を手に取る頻度や手の状態が同じであるはずがないので、それらいろんな要素が複合的に絡み合ってエイジング(経年変化)して行くことを考えれば、「ズバリ!こうなります」みたいな返答はちょっと無理なんですよね。

なので今回は、「ALASKAのエイジングの考え方」を書かせていただこうと思います。「こうなります」を紹介するのではなく、大まかに要因分解して理屈を理解していただくイメージです。

要因分解は下記の3つになります。

  ① 表面のワックスはどうなっていくのか?

  ② 紫外線による退色について

  ③ 植物タンニン鞣し革の焼けにつて

では、順番に説明していきますね。

『ALASKA / アラスカ』の表面のワックスはどうなっていくのか?

イタリアのタンナー(革のメーカー)La Pelra Azzurra / ラ・ペルラ・アッズーラ社が製造する『ALASKA / アラスカ』は、革の表面にワックスが吹き付けられていて表面が白っぽくなっている革になります。 こんな感じ。

『ALASKA / アラスカ』#SKA-13 / グレー

「このワックスがどうなっていくのか」が気になるところだと思います。

結論から言うと、ワックスはだんだん取れて行きます。

摩擦などでワックスが取れることもあれば、擦り込まれて革の内部に入っていくこもあります。そうすることで表面のワックスがなくなって行き、革の地の色が顔を出してきます。

当店のスワッチを布で擦ってみました。濃くなっている所がそれです。ワックスが擦り込まれて地の色が顔を出している状態です。

僕たちは、ワックスが取れた時の色を「裏面を参考にしてください」とよく言っています。

当店の『ALASKA / アラスカ』は裏処理加工をしてもらっていて、裏処理をする時に処理剤を吹き付けて、プレスすることでツルツルの面を作っているのですが、処理剤が革に浸透することで「濡れ色」になり、何もしない状態よりも一段濃くなります。 その濡れ色が、銀面のワックスを擦り込んで濃くなった色(これも一種の濡れ色)とほぼ一致するため、「裏面を参考にしてください」とご案内できるわけです。 こんな感じ↓↓↓

右上のブルーに関しては少し色の違いが見受けられますが、こういうパターンもあるよという意味合いで敢えてチョイスしました。

ワックスが取れた時の色はこれでイメージしてもらえたでしょうか?

1点付け加えておくと、『ALASKA / アラスカ』はシボのある革なので、シボの凸部分の擦れやすいのでワックスは取れやすく、逆に凹部分のワックスは取れ難い傾向にあります。

ただ、革製品として使用していく上では、最終的にワックス(表面の白)は全て取れることになります。

表面のワックスがどうなっていくのかはご理解いただけたでしょうか?

次は、「紫外線による退色について」ですね。

『ALASKA / アラスカ』の退色について

『ALASKA / アラスカ』は染料染めの革になります。

染料染めの革は、染料が革に浸透することで様々な色に染められるのですが、浸透した染料は様々な要因で抜けていく可能性があります。 その中で最も影響を受けるのが紫外線かなと思います。

例えば、染料染めのブルーの革を買われて、お財布とトートバッグを作られたとします。 で、同じ人が同じタイミングで両方を使い始めた場合、おそらくトートバッグの方が退色が顕著になると思います。 理由はトートバッグ方が紫外線をよく浴びるからです。

退色することで次に説明する「植物タンニン鞣し革の焼け」の影響を受けやすくなり、変色に繋がっていきます。

ただ、『ALASKA / アラスカ』は芯通し染めになっているのと表面がワックスで覆われているため、「みるみる色褪せていく」というようなことにはなり難い革と言えます。 また、前述の「ワックスが刷り込まれて濡れ色になるため濃くなる」の作用もありますしね。

ただ、「紫外線によって退色する」はすべての革に言えることなので、革や革製品を使用する際は知識として頭の片隅に入れておいてもらえればと思います。

植物タンニン鞣し革の焼けについて

『ALASKA / アラスカ』は植物タンニンで鞣された革になります。

植物タンニン鞣剤で鞣して、仕上げの加工(染色やコーティング)を施していない状態のものを「ヌメ革」といいます。

ヌメ革は使い込むことで焼けて飴色に経年変化していくことが大きな魅力となっていますが、『ALASKA / アラスカ』のベースも植物タンニン鞣し革になるので、ベースの革自体が焼けて飴色に経年変化していく性質を持っています。

これは『ALASKA / アラスカ』に限らず植物タンニンで鞣されて染料のみで染められた革は全般そうなのですが、茶系や暖色系、黒に染められた革の場合はその影響をほとんど受けませんが、例えば寒色系に染められた革は比較的その影響を受けやすいですし、パステルカラーなどの淡い色も影響を受けやすかったりします。

「影響を受けやすい」と言うとちょっと悪いイメージを持たれてしまうかもしれませんが、言い換えると「色の変化が大きい」という捉え方もできます。経年変化による色の振り幅を楽しみたい場合は、影響を受けやすいカラーをチョイスするといいと思います。

最後に

『ALASKA / アラスカ』のエイジング(経年変化)の考え方はご理解いただけたでしょうか?

この記事を通して、個性豊か、表情豊かな『ALASKA / アラスカ』により一層興味を持ってもらえたら嬉しいです。

ちなみに『Kawamura Leather』では、14色展開でご用意しています。

(下のカラーチップをタップすると商品ページに飛べます↓↓↓)

アラスカアイボリーアラスカナチュラルアラスカブラウンアラスカチョコアラスカラズベリーアラスカピンクアラスカレッドアラスカオレンジアラスカイエローアラスカグリーンアラスカブルーアラスカターコイズアラスカグレーアラスカブラック

A3サイズA4サイズレザースワッチ(カット見本)も完備していて、

イタリア植物タンニン鞣し革協会の製品用タグのご用意できます。

まだ触ったことがない方は、是非一度使ってみてください。

最後まで読んでいただいてありがとうございました m(_ _)m

おまけ

店舗から車で30分ぐらいのところに倉庫があって、いつもこんな感じで荷受けしてます。

毎回ドキドキワクワクですw

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