2022.01.07
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「床革(とこがわ)ってなに? どんな革?」を専門用語を交えて解説
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こんにちは、iso(いそ)です。
今回は床革について書いてみようと思います。
床革の説明をするには、まずは通常の革がどんな風にできているのかを理解してもらう必要があるので、まずはそこから説明させてください。
革の構造、乳頭層と網状層
一般的に「本革」と呼ばれる通常の革は2層構造でできていて、革の表面となる0.4mm厚程度の乳頭層(銀層)とその下で線維が三次元的に絡まってできている網状層があることで、革の厚みと丈夫さが構成されています。
もう少し具体的に書くと…
乳頭層だけでは(革によっては)紙のように手で破ることができ、網状層だけだと1.0mm厚を下回れば手で引きちぎることが可能になります。でも、通常の(乳頭層と網状層が合わさった)革を1.0mm厚に漉いても手で破ったり引きちぎったりできないのは、乳頭層から生え出た線維が複雑に絡み合うことで革の厚みとなり、程よい弾性を伴って破断するきっかけが生まれにくい2層構造を構成するからなんです。
分かってもらえますかね? f^_^;
で、ここからが床革の説明になるんですが…
漉き加工を経て生まれる床革
床革とは、漉き加工によって上層の乳頭層を取った後の純度100%の網状層です。
「漉き加工」は用途に合わせて革を薄くする加工(革をスライスするイメージ)で、メインとなる革の表面側(乳頭層がある側)と余分な網状層に分けられます。 で、メインとなる表面側は引き続き「革」として扱われ、下の余分な網状層が「床革」として扱われることになります。
床革の特徴
で、先ほど「網状層だけだと1.0mm厚を下回れば手で引きちぎることが可能」と書きましたが、厚みが増せば3次元的に絡まった線維の体積が大きくなり、丈夫さもそれに比例するのはなんとなくイメージしていただけると思います。 ヌメ革の床革の場合、厚みが1.5mm厚以上あればかなりの丈夫さを感じてもらえると思います。
ただし、線維の生えどこである乳頭層が なくなっている以上、本来の革の丈夫さは多少損なわれることになりますし、素材としての価値は通常の革と比べて大きく劣ることになります。 また、床革は革を漉いた後の副産物であることから安定供給ができないことも特徴の一つです。
床革の用途・行き先
床革の用途としては、一番は芯材かなと思います。鞄の持ち手や靴のつま先やかかと部分、ベルトなどで強度や厚みを持たせたい部分に床革が使われています。試作する際の革の替わりとして使われていたりします。 本番と同じ(もしくは近しい、似た)厚みや硬さの床革で試作することができれば本番のイメージがより鮮明になりますよね。
あとは、粉砕した物を樹脂で固めて「再生レザー」(リサクルレザー、レザーボードなど)として様々な用途に使われていたりします。
ただ、上記のように活用されるのは一部であり、ほとんどは廃棄処分されています。
床革の特徴を理解し正しく有効に活用していくことは廃棄を減らし環境にも優しいアップサイクリングな取り組みとなるため、今の時代にマッチしたモノづくりになると思いますし、僕たちの周りでもそのことに着目し、チャレンジを始めている人が出てきています。
ちなみに、品質表示や材料表記の面でトラブルにならないよう注意が必要です。
消費者庁による「家庭用品品質表示法」「雑貨工業品品質表示規程」の中で「品目:かばん」では「牛革」「馬革」「豚革」などと並列で「床革」も区別し明記すよう定められています。
くれぐれもご注意いただき、正しく活用してください。
床革のまとめ
床革は漉き加工によって派生する余分な網状層のこと。
厚みさえあればそれなりに丈夫だけど革としての価値はない、その分安価で手に入るけど安定供給は叶わない。
革から派生した副産物で元を辿れば革の一部だけど、革と床革は別物として扱わなければならない。
これが床革です。
床革も販売してます
で、KAWAMURA LEATHERでも実店舗やオンラインストアで床革を販売しているので、もしこの説明を読んで興味を持たれた方は是非覗いてみてください。
▼『ヌメ半裁の床革(1.0~1.5mm厚)』(1枚/¥2,000- (+税))
Kawamura Leatherの定番革『生成りヌメ革 2.5~3.0mm厚』から取れた床革です。
ベンズ部分で1.5mm前後、ショルダー・ベリー部分で1.2mm前後と均一ではありません。
大きさは200~280de前後で、平均が240ds前後。 1枚1枚大きさが異なりますが、 1枚/¥2,000- (+税) で販売しています。
前述の通り、床革は漉き加工の副産物で安定供給はできないので、「次いつ入りますか?」と聞かれても本当に分からないし、極端な話、「分かりません」って答えた次の日に入ることもありますので、予めご了承ください。